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Author:チスイ

ハイデリンに住む一職人で一冒険者
今日も愛用の道具を片手にまったり世界を駆けぬけます。

 

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【FF14】ミード社員秘話〜女子会〜【職人の冒険秘話】

 

 

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「それにしてもずいぶん大きくなりましたね」

 

商隊の護衛でミード本社を訪れたココンは仕事終わりのクル・リーゼを捕まえて話し込んでいた。普段はウルダハに拠点を構えて活動するココンだが、本社勤務の社員以外では本社を訪れる機会が多く、取り分けリーゼはチスイとは別の意味で付き合いが長いので仲も良い。

 

 

「最近じゃ、本社に来る度に新しい社員が増えたって話を聞く気がするもん」

「それは流石に言い過ぎですが最初の頃を考えると確かに凄いですね」

 

クル・リーゼはミード創設時からいる数少ないメンバーである。元々ココンの父の商会で働いていたクル・リーゼは一家を上げてミードに協力するとなってもそのままスライドする形で入社している。今の社員でも現在の本社が出来る前からミードに関わっている数少ないメンバーである。

 

「お疲れ様です」

 

2人の会話の切れめを狙ったかのような落ち着いた声に2人が振り返る。仕事を終えた和服のアウラ族の女性、ミードでは受付業務を行っているランドウが降りてきた。ココンの言う「いつの間にか増えていた社員」の1人でもある。

 

 

「ランドウちゃんお疲れ様」

「おつかれー。ねぇ、ランドウさん聞いてもいい?」

 

挨拶を返しながら聞くのはココン。気になったら聞かないと気が済まないのは相変わらずである。

 

「はい、なんでしょうか?」

「ランドウさんってひんがしから着たんでしょう?どうして社員になったの?」

「どうして……ですか」

 

ココンの唐突な質問にも真面目に考え込むランドウ。少し考えてからランドウは口を開いた。

「私はひんがしのスイの里という場所の出身なのですが……そこはなんといいますか、とても閉鎖的な場所でして。私は外の世界に強い憧れを持っていたんです。偶然出会った社長に連れだして頂いて……そのままお仕事までお世話いただく事になりました」

「そーなんだ!ひんがし、いつか行ってみたいなぁ」

「ひんがしでも私も全然知らない事もありますけど」

「それはエオルゼアも一緒だよ!でも話で聞くばっかりだから、憧れる!」

 

ココンは元々話し好きでもあるのでテンポ良く会話が進んでいく。こんな調子で色々な場所で話しているので、普段本社勤務ではないにも関わらず本社社員にも広く顔を知られ、認知されていると言える。リーゼも会話の主導権はココンに任せながらも相槌を打ちながら話を聞いていた。

 

 

「なんだか楽しそうなお話が聞こえました!」

 

仕事が終わったのか、それとも「ひんがし」の話題だからか姿を見せたのは本社社員随一のおしゃべり好きで社内工房で受付を担当するミコッテのヴァ・ルビ。ほぼ同時期に入社したランドウから聞いたひんがしの文化にすっかり惹かれ、ランドウに習って今では常時和服を着こなし礼儀作法までひんがしに寄せて生活している変わり者である。

 

「ルビちゃん、お疲れ様」

「お疲れ様です!」

「お疲れ様。ルビちゃんは?どうして社員になったの?」

「社員になった理由、えーと」

 

会話のテンポが良いココンはどんどん周囲を巻き込んでいく。社歴が長い者ほどこの調子に慣れていくが、ヴァ・ルビは自身も会話好きなのが幸いして比較的交流は少ないものの、すぐにココンの調子に慣れていた。

 

「元々はここのレストランが大好きで、纏まったお金が入ると良く食べに来てて。それである時、社内工房を作る話と、その拡張で新しく人を雇うという話を耳にして、雇ってくれるようにお願いしたからですね!」

「それってつまり社食が目当て……なの?」

「そうです!チスイ社長の料理もキルルさんの料理もとっても美味しくて……日々の楽しみです!」

「ルビさんらしいですね」

「あはは、ルビちゃん着物着れなくなっちゃうかもよ?」

「大丈夫です!その分ちゃんと運動してます!」

 

やや呆れ気味のクル・リーゼと薄くも笑うランドウに容赦のないココン。ヴァ・ルビのナナメウエな動機に三者三様の反応を示す。

 

「でも本当に美味しいじゃないですか!」

「褒めていただけるのは嬉しいですが、少し声が大きいですよ」

 

 

ヴァ・ルビの激しい訴えに反応したのはその場にいた3人の誰でもなく、階段から降りてきたララフェルのキルル・キルであった。

 

「まだ上で応対中のグレースさんが上で顔を引き攣らせているのでもう少し声を抑えて」

「す、すみません。つい」

 

流石に応対中と言われてはヴァ・ルビも黙るしかない。もうほとんどの者が仕事を終えているとは言え、まだお客さんがいるのだったら社員としては当然に注意を払うべきなのである。

 

「それで、キルルさんはなんで社員になったの?」

 

そんな中、声を抑えても話を続けようとするのがココンである。キルル・キルは瞬間的に驚いた顔こそ浮かべるもその好奇心の塊のようなココンの視線に1つため息を吐いて歩み寄る。

 

「社長に声をかけてもらったのよ。社長とはこの会社を設立する以前からの知り合いだったから」

「そうなんですか?」

 

初耳とばかりに驚いたのはクル・リーゼだ。彼女はココンなど同じタイミングからチスイを知る者はいても、それより古くからの知り合いが社内にいるとは思っていなかった。

 

「出会ったタイミングは違うけど、会社設立前からの知り合いという意味ではル・カシャもそうよ。私達3人は同時期に調理師ギルドに出入りしていたの」

「カシャさんも料理出来るんですね!どんな料理をするんだろう」

「食べてみたいですね」

 

調理師ギルドと聞いて反応するのはやっぱりヴァ・ルビ。そしてそれにランドウが返す。このようなやりとりもまた社員間では良く見られる光景である。

 

「彼女は本当に丁寧な料理をするわね。でもいつからか併設したビスマルクにホールに出るようになって料理をする時間は減っていったわ。社長は元々冒険者だから出入りが激しかったし、私も縁があって他の場所に出向いて雇われ料理人をしている期間もあった。だから調理師ギルドで一緒だったと言っても常に一緒にいたわけではないの」

「それでそれで?」

「この社屋が出来てレストランも併設するのが決まった時ね。社長からお願いされたのよ。自分のお店だと思って切り盛りしてほしいって。それを受けて入社した感じね」

「みんな色々だなぁ」

 

ココンは一同の顔を見渡してから呟く。今でこそ一緒になって働いているけれどここに来るまでには本当に色々な事があった人もいる。元々話し好きのココンも冒険者になって各地に赴くようになってからは特にその人となりを見るようになった。

 

だからこそココンは商人を取りまとめつつ自身も商人として働いていた時よりも、冒険者と商人の二足の草鞋を履いてからの方が営業成績を上げているのだった。

 

 

「あんた達!!いい加減にしなさい!!!!」

 

少しほっこりした雰囲気をぶち壊す怒声が響く。無論声の主についてはこの場にいる誰もがすぐに予想出来た。階段を凄い形相で降りてきたグレースである。

 

「あんた達の声聞こえ過ぎなのよ!幸い最後に応対してたの常連の槍使いさんだったから笑ってくれてたし問題は何もなかったけど!」

「グレースさん、お疲れ様です。すみません、謝らせてしまって」

 

グレースの憤怒にすぐに反応したのがランドウである。同じ受付を担当する者同士で上下関係はないとはいえ、ミードに来る前も似たような業務をしていたグレースと、満足に外に出た事も無かったランドウでは経験値が違う。ランドウはグレースに教わる事ばかりなのでグレースに対しては過敏に反応するのである。

 

「ふん、いくら常連さんでもお客さんはお客さんだもの。ちゃんと対応するわよ。自分達が終わったからって少しは限度を考えて頂戴」

 

ランドウの謝罪でもグレースの怒りは治まらない。元々社員達の間では密かに二重人格者とさえいわれているのがグレースである。普段は口調も乱暴で怒りっぽく例え先輩や社長のチスイが相手であっても文句があれば正面からはっきりと物を言うタイプであるのに、一度お金を払う相手に対しては、社内で誰よりも丁寧に応対するのである。

 

「それでグレースさんは?」

「は?」

「話、聞こえてたんでしょう。グレースさんはなんでこの会社に入ったの?」

 

ココンの質問にはグレースはもちろん、その場にいた全員が凍りつく。ココンの知的好奇心満天にまっすぐした目を向けられたグレースは言葉を詰まらせて口角を下げる。何か言ってやりたいがなんて言えばいいのか分からない。そんな複雑な表情をしていた。

 

場を静寂が包む。ココンは首を少し傾けるだけで動かず、グレースはココンを見下ろし、口角を揺らし、少し口を開いたかと思うと閉じてしまう。そんな2人のやり取りに、クル・リーゼもヴァ・ルビもキルル・キルもただただ見守るしかなかった。

 

その場にいた者には長く感じた時が経過した後、先に動いたのはグレースだった。ココンの視線に耐えられなくなったグレースは、大きくため息を履いて自身で留飲を飲んだのだった。

 

「……カ、カルルに誘われたのよ。前にも同じ商会で働いていた事があったから。ちょうど受付が必要だって聞いたから」

「そうなんだ。またカルルさんにも聞いてみよっと」

「今日は止め時なさいよ。まだ忙しいみたいだから」

 

グレースはこの場に居たくないと考えたのか捨て置くようにココンを制止するだけして背を向け階段を登っていった。

 

ココンは何かを考えるようにしていて残された三人は動くに動けないでいた。

 

「と、ところでキルルさん!今日って何か余っては……」

「……言われると思って準備してありますよ。運んできますね」

 

なんとか空気を壊したヴァ・ルビと、その言葉に促されるようにキルルが階段を登って行ってなんとかその場は落ち着いた。

 

ココンが会社に泊まるその日は途中場を社内女子部屋に移しながらも夜更けまでお喋り会が続いた。

 

 

 

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