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Author:チスイ

ハイデリンに住む一職人で一冒険者
今日も愛用の道具を片手にまったり世界を駆けぬけます。

 

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チスイの別ブログ

 

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【FF14】竜騎士騒詩〜それぞれの想い〜【職人の冒険秘話】

 

 

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「これでよしっと」

 

チスイは会社に戻ると冒険者ギルド宛て、そして黒渦団宛てに事の仔細を記した封書を作成した。冒険者ギルドには偽依頼への警告、そして黒渦団は領域内の捜索などより大規模な作戦を行ってもらう為だ。

 

こういう時、自身の持つ英雄という肩書には感謝せざるを得ないとチスイは思う。一介の冒険者の意見なら通りにくい意見だろうが、自身の名前があれば少なくとも上層部までは目を通してくれるだろう。その後の判断についてはチスイが知るべき所ではない。

 

ジンが偶然にもチスイを頼った事も不幸中の幸いだったと言える。

 

チスイは封書にしっかり印をすると机の上に置いたまま顔を上げた。一緒に帰ったジンは今も来客用のソファーでぼんやりとしていた。

 

 

「ジン君、出来たよ。ジン君の名前も連名で入れといたから」

「お、おう」

 

 

気のない返事を返すジン。チスイは立ち上がるとジンの向かいに移動してソファーに腰を下ろした。

 

「ジン君、大丈夫だよ。今回みたいな特殊な例なら冒険者ギルドがしっかりと報酬をくれるはずだ」

 

偽の依頼とはいえ、形式上は今回の依頼は未達成である。普通なら未達成の依頼で報酬がもらえる事はない。が、今回はケースがケースなので冒険者ギルドも配慮するだろうというのがチスイの読みだった。

 

「あー、違うんだよ。ちーちゃん」

 

ここにきてようやくこちらを向いたジン、その表情はいつも明るいジンの表情とはかけ離れている。

 

チスイはジンに会社までの帰り道で今回の裏を全て伝えた。

チスイの元に届いていた帝国軍残党の活発化、チスイがジンの持ってきた依頼を疑った事、チスイが黒魔導師として同行した理由。そしてチスイはジンに帝国軍残党の事を黙っていた事も謝罪した。もちろん確証があったわけではないのが理由ではあるのだが、それでも通すべき筋は通さなければいけないと思ったからだ。

 

その話を聞いた後からジンはずっとこんな感じで、チスイが封書を書いている間もずっとここに座っていたのである。

 

 

「じゃあどうしたの?」

「まーたちーちゃんに迷惑かけちまったと思ってよ。ちーちゃんが咄嗟に判断してくれなかったら俺……」

「なんだ、そんな事」

 

チスイとしてはむしろ迷惑をかけたのはこちら側だと考えている。言ってしまえば今回の同行はジンを囮にしたと言っても過言ではないのだから。

 

「俺どーしてもダメなんだよな。人に向けて槍を構えると手が震えるんだよ。冒険者としてこんなんじゃダメだとは思ってるんだ。それでもあんな状況になっても、俺の手は震えてた」

 

 

ジンは自身の手を見つめていたかと思うと顔を覆うようにして再び顔を下げる。

 

「こんなんじゃダメなんだよ。そんなつもりで今回ちーちゃんに声をかけたんじゃねぇんだ。ちーちゃんを護りたいなんて厚かましい事は言わねえけどよ、せめて護られてるだけじゃダメだと思うんだよ。それでもどーしてもダメで……」

 

ジンはチスイに言っているというより自身に言い聞かせるように言葉を続ける。しかしジンは帝国軍残党に囲まれたというインパクトで肝心な事が抜け落ちていた。

 

「でもその前の軍獣はほぼ1人で戦えてたでしょう?」

 

そう、軍獣との戦いではチスイはほぼ何もしていないに等しいのだ。帝国軍残党に遭遇した際の為に魔力を溜める事、そして周囲の警戒に力を注いでいたチスイはまともに攻撃した事の方が少ないのである。

 

「いやいや、あんなのは大したことないって」

 

チスイの言葉にジンは勢いよく顔を上げたかと思うと首を横に振るいながら大袈裟な身ぶりで否定するがチスイはそうは思わなかった。

 

相手は仮にも帝国軍が訓練した軍獣。そこらにいる魔物なんかよりも間違いなく強いと言える。その軍獣をほぼ1人で、しかも無傷で相手しているのだからジンの実力も間違いなく高いのだ。

 

「俺さ、冒険者になって色々な人に助けられてんだよ。ちーちゃんもそうだしみんな俺より出来る人ばっかりなんだ。いつまでもこのままじゃいらんねーんだよ。みんなの横に並び立ちたいんだ」

 

ジンは力強く決意めいた言葉をチスイに向ける。チスイはそんなジンの言葉に思わず微笑んだ。

 

ジンは自身の実力を過小評価するきらいがある。今回、軍獣戦での無傷ももちろんだが、チスイが瞬間的に立てて突発に実行した作戦も事前の打ち合わせもなく完璧にこなしたにも関わらずだ。並みの冒険者ならあんな咄嗟に対応は出来ない。少なくともチスイが知る範囲で数えられる程しかいないだろう。

 

「んだよ。なんで笑うんだよ」

「ううん、何でもないよ」

 

とはいえ、これを言葉にした所でジンがそれを認めないのもチスイはこれまでの付き合いで把握していた。ソファーから立ち上がるとジンを見下ろしながら続ける。

 

 

「さ、ボクもまだ仕事があるしジン君もそろそろ帰りなよ。マックさんももう帰ってくるんでしょう?マックさんに慰めてもらいなよ」

「お、おう?んじゃまぁそうするかなぁ」

 

ジンは頭を掻きながら立ち上がるとそのまま部屋から出ていった。

 

チスイはそんなジンの背中を見て思う。

 

 

並びたい、そんな風に言われたのはジンが初めての事である。

「憧れてます」という言葉をチスイはこれまで何度も聞いてきた。英雄なんて言われるようになってからは特に。

そして続けるように皆が、自分がチスイより下であるかのような言葉を口にして去っていく。チスイだから出来た事で自分に出来るとはとても思えないと。

 

だがジンは違った。さっきの言葉もそうであるようにジンは背中をがむしゃらに追いかけてくる。そしてその志は今も変わっていない。

自分を英雄視せず同じ1人の冒険者として見るジン。そんなジンだからこそ今でも交流を続けているのである。

 

「今度、難しい依頼がきたら協力を頼もうかな」

 

チスイは1人そんな事を呟きながら仕事に戻るのであった。

 

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コメント
読んだーーーっ!!!!
更新ありがとう!!!
話もらった時から本当にめちゃくちゃ楽しみにしてて、撮影の時もどんな話になるんだろうと思ってワクワクしてた!!
発言とか行動とかしっかり俺だなーと思ったよ、ちーちゃんの観察眼には恐れ入った…!!ちゃんと俺らしくて、すごく嬉しかった!!!(*´ω`*)
俺もなんか書きたくなったよ。
ありがとう!!!!ブクマしていつでも読めるようにする!!!
  • 名無しのジンくん
  • 2019/01/05 6:15 PM
あぁー…素敵、自分のキャラでこういうストーリー書けたら楽しいだろうな
お友達のキャラ設定もちゃんとしてるし、もうキャラ同士のやりとりが好き(人´ з`*)♪
また見たいです
  • コアラモドキ
  • 2019/01/05 9:13 PM
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