プロフィール

Author:チスイ

ハイデリンに住む一職人で一冒険者
今日も愛用の道具を片手にまったり世界を駆けぬけます。

 

おすすめコンテンツ FF14ライフ.png

職人の冒険秘話.png

エオルゼアデーターズ.png

イベントレポート.png

創作レポート.png

カレンダー

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2019 >>

 

職人の冒険録の更新はツイッターをフォロー頂けると確認頂けます! ツイッターフォローはこちら

 

チスイの別ブログ

 

当ブログ内の文章、画像の無断転載はおやめ下さい。
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
Copyright (C) 2010 - 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

【FF14】陰・飛耳長目譚〜収束〜【職人の冒険秘話】

 

前の話へ.png目次へ.png

 

 

ムクロは市場から少し離れた路地裏で足を止めた。何かを責められるわけではない。これでは何が正解だったのかも分からないしどうすればいいんだろう。

 

「やれやれ、相変わらずだな」

 

 

あらぬ方向からの声に私が振り返るとそこに立っていたのは先程の商人だった。益々状況が分からない。

 

「お嬢ちゃんも意味分からないだろう?ロクに説明も受けていないんじゃないか?」

 

商人は頭を抱えるようにしながら私を、いや商人から見れば私を挟んで奥にいる相手を見ている。

 

「ムクロ嬢、毎回新しい子が来る度に俺に説明させるのはいい加減やめてもらえんかね」

「……適材適所」

「全く。人の事言えないが、よくこれで色々な人材を見つけてくるもんだ」

 

商人は仕方ないと小言もサラッと流す。私は両者の間に挟まれてなんとかこの状況をつかもうと考えるが分からない。辛うじて分かるのはこの2人が顔見知りであるという事だけだ。

 

商人はため息を吐くと諦めたように視線を落とし、私に顔を向けた。

 

「さっきヒューランの男とやり取りを見せられたな?」

「え、はい」

「なら話が早い。お嬢ちゃんには俺と同じような事をしてもらう事になる」

 

同じ事、というとやはり商売になると思う。でも何を売るのかと言ったら首を横に振られたし……話を聞けば聞くほど深みにハマっていく感じがする。

 

「俺達が扱うのは形のある商品じゃないんだ。端的に言えば「情報」を扱う事になる」

「情報、ですか?」

「そうだ、さっきの男とのやり取りを覚えているか?」

 

 

さっきの男とのやり取り……と言われても日常的な会話にしか思えなくて細かくは覚えてない。私は少し間をおいて首を横に振った。

 

「そう感じたなら、正常だ。あの会話の中で察しがついたなら少し内容を考えないといけないからな。いいか、いくつかやりとりをしているが重要なのは後半、俺の勧めた商品をアイツが断ったやりとりだ」

 

言われて少し思い出してみる。確かこの商人が商品を勧めて、いい噂を聞かないからと断ったというやりとりだったように思う。

 

「俺が、ムクロ嬢が扱っているのはあれを作っている会社の情報だ。ムクロ嬢はあの会社の情報を逐次集めている。売れ行きから市場での動向、用途の似ている物の情報なんかだな。俺たちはその情報を集まる代わりに商品の仕入れを融通してもらっているんだ。簡単に言えば、俺達はお嬢の耳になって必要な情報を集めているというわけだ」

 

 

なんだか、分かったような分からないような話だ。主軸が情報というのは分かったが、結局はそれも商人をしながら。つまり商人をやれという事に変わりはない。

 

やっぱり動作だけで物事を伝えるには限界があるなと商人に話を任せて後ろにいるムクロに私はチラリと目を向けた。

 

「お嬢ちゃんもしっかりやるんだな。しっかりと情報を集めていれば食いっぱぐれる事もない。安定して商品も提供してくれる。外者でこの地にコネのない俺達にはありがたい話だ」

 

確かに男の言う通りだ。真っ当に商人なろうと思ったらこれ以上いい話はない。普通の商売に合わせて少し情報を集めればいいだけだ。それでもやはり気になる部分はある。

 

1つ、いいですか?」

「なんだ?」

「なんで私なんですか?」

 

話自体が理解出来ないわけではない。双方にメリットのある話だとも思う。ただ何故わざわざ私に声をかけたのかが分からない。情報を集めたいだけであればわざわざよそ者である私を拾って商人に仕立てる必要はない。それこそ最初から商人に声をかけてギルを握らせた方が手っ取り早いのではないだろうか。

ただでさえアウラ族が少数派であるエオルゼアで、わざわざアウラ族に商人をさせるなんて目立つ事を何故。

 

「お嬢ちゃんもなかなか鋭いな。だが今はまだそれは聞かない方がいい」

 

 

商人の言葉は私の耳に辛うじて届いた。しかし残念ながら頭には入ってこない。しかし私は身を震わせてしっかりと理解した。それまで無言で話を任せていたムクロがどこに隠し持っていたのか短剣を私の背中に突きつけていたからである。

 

刃は私の背中に当たる寸でで止まっている。少しでも下ろせば私の背中に突き刺さる。

 

「……今のは聞かなかった事にしてください」

「それがいい、ムクロ嬢も物騒なものはしまえ」

 

商人に諭されてムクロは短剣を引いた。私は安堵で思わず大きく息を吐いた。忘れていた呼吸を思い出して僅かに荒れてしまった息を整えた。

 

「……しばらく預ける」

 

今の出来事など何も無かったかのように私の後方から声が響く。

 

「……分かった。預かろう」

 

商人が最早諦めたように答えると私の後ろから気配が消える。ゆっくり振り向くとさっきまでそこにいたはずのムクロの姿は無くなっていた。

 

「お互いとんでもない者に目をつけられたのかもしれんな」

「ハハッ」

 

 

残された虚空に放たれた商人の言葉に私は引き笑いする事しかできなかった。

 

前の話へ.png目次へ.png

 


| 1/20PAGES | >>